2012年8月25日土曜日

ホームページ作成アロエ 横浜下町パラダイスまつり:きょうから若葉町で 中・韓・タイ、異文化と交流

中国、韓国、タイなどの外国人が多く住む横浜市中区若葉町で、25日から「横浜下町パラダイスまつり」が開かれる。ここを拠点に活動する「アートラボ・オーバ」が主催して09年から始まり、今年は4回目。映画館「シネマ・ジャック&ベティ」も「よこはま若葉町多文化映画祭」を開催し、国内外の異文化との交わりが楽しめる。いずれも9月2日まで。【山田麻未】  ◇「隣人」と触れ合う場提供 「関わり方、見え方新しく」  アートラボ・オーバは、アーティストの蔭山ヅルさんと音楽家のスズキクリさんが代表を務め、96年に活動を開始。ジャック&ベティと同じビルに拠点を置き、連携したイベントも行っている。  若葉町は伊勢佐木町の隣で、大岡川の対岸には黄金町がある繁華街に位置するが、タイタウンの一面もある。アートラボ・オーバは07年、映画館の座席にいる観客の手をタイの子どもが引っ張って、タイ料理店などが並ぶタイタウンに連れて行く内容のCMを製作した。ジャック&ベティでタイ映画の上映前に流した。  映画館から外に出て左に進むと京急黄金町駅や市営地下鉄阪東橋駅があり、右手に集まるタイ料理店には観客の足が向いていなかった。CMの「映画館を出て右!」のキャッチフレーズ通り、観客は自然と映画館を出て右側に足を運んだ。     ◇  蔭山さんは美術大学を卒業後、バックパッカーとして世界を巡ったりしながら、アーティスト活動を続けていた。ある時、美大時代の友人の養護学校教諭が開くアトリエに誘われて行き、初めて障害のある子どもたちと触れ合った。彼らはすぐ近くにいたはずの「隣人」なのに、それまでよく知らなかった。  好きな場所を訪れ、会いたい人たちに会っていると思っていた。しかし、身近にまだまだ知らないことがあると気付いた。「西アフリカでヒッチハイクもしたのに。隣の家なのにノックしていないことってありますよね」  若葉町を歩くと、外国人が経営していて日本人には閉鎖的なように見えた店が、実はそんなことがなかったり、話してみると同じ国同士でもニューカマーの人が困っていたりすることがあった。     ◇  昨年の横浜下町パラダイスまつりで、韓国映画を鑑賞した後、韓国料理を味わうイベントを行った。参加したある映画ファンの男性が「韓国の映画も料理も初めて」と打ち明けた。横浜で約40年暮らし、それまでもアートラボ・オーバに顔を出していた人だった。  男性は終戦直後の1945年8月22日、島根県の隠岐島で生まれた。西北約157キロには竹島がある。52年、韓国側は「李承晩ライン」を一方的に定めた。日本人の漁師が拿捕(だほ)され、時に死傷者が出たニュースを男性は身近に聞いて育った。  この話をきっかけに蔭山さんとスズキさんは昨年12月、男性のふるさとを訪ね、漁師らの話を聞き歩いた。  横浜には他県はもちろん、世界各国の人が集まっている。若葉町の街角の掲示板に張られた中国食材店や韓国語教室のチラシには最近、×印などの落書きが書かれた。     ◇  マスメディアやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)では伝えられない話が、若葉町にはある。蔭山さんは韓国料理店の女性から、民主化宣言前の韓国で、戒厳令が出される中、タクシーのトランクに隠れて夜遊びに出かけた話を聞いたことがある。  蔭山さんは自分たちの活動を「私たちアーティストは交流の場をつくるだけ。目的や目標は参加者に任せている。場ができれば、世の中との関わり方や見え方が新しくなったりする」と話す。  まつりは詩人や演劇制作者、ジャック&ベティの支配人と語る会、若葉町のギョーザ食べ比べなどのイベントがある。詳細はホームページ(http://downtownart.hama1.jp/)。シネマジャック&ベティは韓国、ブラジル、フィリピンなどの話題作10本を上映。問い合わせは同館(045・243・9800)。 ホームページ制作杉山システム